『ドラゴン・キングダム』観たら絶対強くなれる!?カンフー・ファンタジー登場!
もう、もう、すごいのひとことですね。よくぞこんな映画を作ってくれた。当初ね、アチラ版のポスターをちらっと見たときに思ったのが「ああ、またファンタジーか」だったんです。
だけどそこにタイトルよりデカい文字で書かれた「ジャッキー・チェン、ジェット・リー」の文字にビックリ!そしてどことなく古風でどこか懐かしい後ろ姿の四人組…
まさか、とうとう本家本元、理想のキャスティングでの西遊記の登場か!?と思ったんですね。ある意味、それは正解でした。だけど、西遊記に龍が出てくるエピソードってあったかなあ?とも。
そうです。私はドラゴンがカンフーの達人を指すことをすっかり忘れていたのです。
さてさて!この夢の組み合わせがどれほど素晴らしい作品になったか!ああ、ネタバレなしで語るのはなかなか難しいですが、みなさんのお楽しみを台無しにしないためにもがんばって解説してみますね。
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だけどね、ぶっちゃけた話、ドラゴンと呼んでいいのはやはりブルース・リーなの。
というか、ジャッキーはむしろ『ジャッキー・チェン』という、リーとは異なるひとつの頂を極めた人であり、ジェット・リーことリー・リン・チェイは、他に例を見いだすことのできない、やはり彼一流の存在なんですね。むしろそんな二人をドラゴンなんて呼んだらいけません。失礼です。
今作はまさにこのことを改めて確認させてくれました。

ポスターやタイトルクレジットでお分かりのように、ジャッキーもジェット・リーも完全に同等の扱いですね。本編でも両者を実にうまく立てています。
これまでジャッキー・チェン、ジェット・リーそれぞれの主演によるハリウッド映画はもう結構な数が制作されましたが、どうも私にはどれも窮屈そうと言うか、いかにもヨソの国でヨソの流儀で外国人俳優が“借りてきた猫”みたいな演技しかしていないことが不満でした。
かなりのヒットを飛ばした『ラッシュアワー』シリーズも、ジャッキーは終始遠慮しっぱなしでしたね。ちょっとましなのが『タキシード』ですが、それもどこかよそよそしい。おなじくリー・リン・チェイ…いや、ジェット・リーも『ロミオ・マスト・ダイ』や『ダニー・ザ・ドッグ』では妙に窮屈そうでした。
ところがところが!この作品は違う。というか、ついに、ついに二人のカンフー・マスターがやっと本気でスクリーン狭しとあばれまくる本格的カンフー・ファンタジー映画に仕上がったんです。
この作品を手がけたスタッフがちょっと変わってまして、まあアクション監督のユエン・ウー・ピンはジャッキーの育ての親みたいな人であり、マトリックスなどの超ワイヤーアクションで世界的に知られる人なのですが、奇妙とも思えるのが監督のロブ・ミンコフ。
なんとディズニーでリトル・マーメイドとか美女と野獣のキャラデザインやら物語の骨子を創った人。その後の経歴を見ても、およそこの作品とは繋がらない。むしろ脚本のジョン・フスコという人がかなりのウエイトを占めているようです。
というのは、『ヤングガン』や『ザ・ベーブ』の脚本を手がけたこの人、ご当人も子供のときにテコンドーを始めたり、数年前に少林拳を始めたり、しかもどうやらそれらをスポーツではなく武道としてその心を追求しようとしているフシがあります。いや、難しい話はともかく、かなり“好き”ですね。主人公のジェイソンはまさに彼自身の投影でしょう。
それがよく判るのがオープニング。映画というのは、オープニングに制作者たちの思い入れがギュウッと凝縮されるものです。私がブルース・リーの映画に触れたのは中学生になったばかりの時でしたが、街角に貼られた『燃えよドラゴン』のポスターに見入ったあの頃の気持がまざまざとよみがえってきました。
あなた、どれだけこのオープニングに登場するカンフー映画をご存じでしょうか。いやはや、映画はまだ始まったばかりでさっそくそんなお楽しみを出してしまうんですね。
だけどけっして、これまでハリウッドで作られたようなエセのカンフー映画ではないことがすぐに判ってきます。
(でも正直な話、スタッフの経歴を調べていて一番ぶっとんだのは、このジョン・フスコの最新の仕事があの『七人の侍』リメイク版の脚本を書いたことだという情報でしたが!!!)
さて、お話は、カンフー映画大好きないわゆるいじめられっ子のジェイソンが、チャイナタウンでいきつけの怪しげなDVDショップで金色に輝く六尺棒を見つけるところから始まります。
店主のおじいさん(これはネタバレでも何でもない、見るからにジャッキーの見事な老け役!)に由来を聞かされていたものの、やがて彼はその棒を本来の持ち主に返すために異世界へと旅立つことになります。
まあこの辺は異世界ネタファンタジーのお定まりですが、これまで見慣れたファンタジーは実写でもアニメでも、あまり人種とか姿形の違和感って感じませんでしたよね?『ナルニア』しかり、『ネバーエンディングストーリー』しかり。
まあ物語的には、現代人が大昔へ飛ぶとかなので服装や言葉、身なりでのギャップを一所懸命に表現するんですが、すぐに馴染んでしまう。ましてアニメでは外人も何も描き分けてありませんからね。
ところがです。この作品ではすごい発見がありました。
主人公のジェイソンは黒髪のユダヤ系とはいえ、白人なワケです。それがカンフー時代劇映画の舞台にいると、こんなにも浮くのかと驚いてしまいます。まさに異邦人。つまり行き先の世界の住民が、いくら耳がとがってようが尻尾があろうが、顔が西洋人同士だとそんなに違和感ないんですが、東洋人ばかりだとほんまに浮きまくる。
いやあ、三浦按針(ウイリアム・アダムズ)もこんな調子だったんでしょうねえ。

それはともかく。さあ、二大カンフーマスターの対決!これこそがキモなわけです。
見せる、魅せる!ふたりの個性を殺さず、しかも二人が持っている欠点すらもキャラの味わいに変えてしまったのも、脚本の巧さだと思うのです。
え、欠点てなに?とお思いでしょう。これこそ二人がハリウッドでイマイチぱっとしない理由だと思うのですが、まずジャッキーは東洋人ならではのとらえどころのない笑顔。
わたしらはこれを人なつっこさとか魅力と捉えますが、たぶんこれが軽く扱われてる理由だと思うんです。
逆にジェット・リーは笑うとなんとも人なつこい、いい笑顔になるんですが、普段はとにかく無口で無愛想、感情表現が下手っぽいですね。なのに童顔。じっさい、特殊な設定にしないと使いにくい俳優でしょう。
しかも、どうも彼、若いときと違っていつの間にか声がつぶれて変に甲高くなってるんですね。だから余計に喋らないキャラになってしまったのかも。
さあそこで。今回はそれを逆手にとって、しゃべりまくりの達人と無口な達人にした。
しかもビジュアルもすべて対照的に。つまりジャッキーの黒くて汚れた服装、ジェットの白くて清潔そうな服装、レゲエなドレッドヘアに対して坊主頭、さらにファンサービスとも言えるでしょう、ついに対決!ってかんじの酔拳VS少林拳。さらに繰り出すは虎拳、鶴拳、蟷螂拳、鷹拳、八卦掌!まさに二人の出世作のオンパレード。
そのシーンたるや、ワイヤーアクション使いまくりとはいえ、ふたりでなければこうはいかないスピードとかけひき。
これでもか、これでもかと魅せてくれるんですが、なんと、あとで時間を確認したらこの夢の対決シーンはたったの4分。でもこの4分でカンフー映画二本観たような満足感です。まあ、まあ!ほんとにこのスタッフ、いや、脚本のジョン・フスコがカンフー好きなんだな、と実感します。好きなだけでなくちゃんと見せ所のツボを理解した人なんですね。フスコ自身が映画製作も手がけた経験があるので、きっと監督は普通の撮影と編集に徹したのではないかとも思えるほど。
そして普通はもうこれでオイシイ所はおしまいかと思うんですが、なんのなんの、悪役がまた魅力的。
敵の将軍を演じるコリン・チョウがイカニモな雰囲気。圧倒的な強さ、存在感、そしてかっこよさ。悪役はこうでないといけませんね。

彼、マトリックスの2と3にも出てるんですね。カンフー映画ではかなりの数に出演しているようですが、手元の資料では詳細は不明。でもサモハン・キンポーの愛弟子だったというから、推して知るべしですね。あいにく今回はずっと鎧を着ていますので判りませんが、彼もいわゆる板チョコ状態の腹筋らしい。
彼の手下の女司令官を演じているのがリー・ビンビン。作中では白髪の魔女という設定ですが、72年生まれのプロフは間違いではないかと思うほど幼く見えます。でも、とにかく綺麗で上品。
存在も設定も彼女と張り合うキャラが“金雀(ゴールデンスパロー)”を演じるリウ・イーフェイ。この人も清楚で凛として美しい。こういうタイプの女優さんはもう日本にはいませんねぇ。
そして主人公を演じたマイケル・アンガラーノ君。
じつは観るまでは、どうせ映画のためにカンフーを学んだ程度の、売り出し中の俳優だろうと思ってたんですが、なんのなんの、売り出し中ってのはそうだとしても、化けるんです。この人。
それが単にへなちょこのドシロウトが達人になって行くというテクニカルなタッチではなく、物語の冒頭と中盤、そしてラストでは完全に眼が変わるんですね。
これは並大抵の演技力ではできませんし、もちろん吹き替えなしのスタントシーンでのあの動きはタダゴトではない。このへん、『ベスト・キッド』を観ていただければ判りますが、いくら見かけ上の動きができていても、運動という意味でのスポーツと、道を求めるという意味でのスポーツや武道では精神の持ち方がまったく違うんで、根本的なところでちゃんとしてるかどうかがシッカリ画面に出てしまうんですね。
いままではテレビ系が多かったようですが、これからが楽しみな役者です。
劇中ではユダヤ系っぽい名字ですが、アンガラーノという名前からするとラテン系なんでしょうかね。いずれにしても耳馴染みありませんけど、mekabuさんのブログ『movie treasure』に現時点で日本語で唯一とも言える、彼の詳細なプロフがありますので彼に目をつけた方はぜひご参考に。

もちろん世界的なカンフーマスター(ともに苦労人で人生のマスターでもある)ふたりと一緒だから、うける影響も並大抵ではないでしょうが。
人生のマスターと書きましたが、ふと気づいたことがあります。
同じようにカンフーの達人であり、映画制作者でヒット連発のチャウ・シンチー。好きですが、心に残らないんですね、彼の作品は。
今までそれが何故か判らなかったんですが、どうやらシンチー作品の場合は後にも先にも彼しかいないんですね。周りの人はさておき、彼が強くなり、彼が勝つ。
ケビン・コスナーのセルフプロデュース作品みたいにオレオレな映画なんですね。
説教臭いことを描けとは言いませんが、彼の映画ではスカッとしても精神的に得るものがない。でもジャッキーのカンフー映画(アクションものは別ですよ)はオキマリのパターンとはいえ、基本が修行であり、師と弟子が切り離せない以上必ず哲学的な教えが出てきます。
今回そういったシーンは少ないものの、要所ではしっかりぴりっと効かせてくれます。
はじめてジャッキー演じる達人、ルー・ヤンとジェイソンの出逢いのシーンでは、当然中国語と英語で通じない。「何言ってるかわかんないよ」と言うジェイソンに「それは解ろうとしないからだ」と言うルー・ヤン。これ、外国語会話に目覚めた人なら実感でしょう。
そして短絡的に技だけを習おうとするジェイソンには「器の大きさは決まっている。いっぱい入っている器にはもう入らない。まず器をカラにしろ」とかね。
そしてなによりも、弟子を厳しく鍛えながらも色々なカタチで護る師弟愛の存在。
なぜ今なおブルース・リー映画そして勧善懲悪で内容なさげなジャッキーの初期作品が人気あるのか。いずれもしっかりと自分の『道』を見つける話だからなんですね。
さてさて、私がこの作品を絶賛しまくる理由。それはラストにあります。間違いなく、とある名作映画のオマージュでしょうね。でも私はそれを心から願ってましたんで本当にほっとしました。いや、こうでないといけない。
そこの人、「やっぱりねえ」なんてクチでは言ってても心では絶対感動してますよ。
そうそう!なんとこの映画、最後に『The End』って出るんですよ!
いったいこの文字、何十年ぶりに観たでしょうか。やはりエンドマークって大事ですよ。カンフー映画だけでなく、かなり映画そのものが大好きな人が作った作品というのは、やはり懐かしい旧友に逢うような気がしてほんとうに安心できますね。
原題は『Forbidden Kingdom』つまり“禁断の王国”なんですね。どう禁断なのかは観てのお楽しみ。ある意味、このタイトルのままの方が正解でしたねえ。いつものことですけど。
それでは、また素晴らしい作品が見つかったら、お逢いしましょうね。
最後まで読んでくださってありがとうございます。ちなみに私───
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*イメージ画面は予告トレイラーから拝借いたしました。
『ドラゴン・キングダム』本国版公式サイト
『ドラゴン・キングダム(原題:The Forbidden Kingdom)』米国Appleトレイラーサイト
Posted at 01:14 | 洋画 | この記事のURL | Clip!! | コメント(16) | トラックバック(31)











コメ返しが遅れてすみません。この作品を観てると、「オレ、こーゆーのが観たかったんだ!」って作り手の声が聞こえてきますよね。
映画館としての興行成績はどうか知りませんが、DVDはレンタル出まくるし、売れる作品だと思うんですよね。
永久保存版にふさわしい内容でしたから。
こちらこそ今後ともよろしく!
Posted by:よろ川長TOM at 2008年09月16日(火) 17:07